「キャンプ用薪ストーブを購入したよ、さあ!薪ストキャンプ行こう!」
はい、ちょっと待ってください。薪ストキャンプは薪ストーブを購入しただけでは出来ません!
えっ?テントみたいに
開封したら
すぐ使えるんじゃないの?
事前準備しないと
キャンプ場で
途方に暮れますよ。
薪ストキャンプをするためには事前に必要なものや確認事項があります。そこで今回は、薪ストキャンプの事前準備にスポットライトを当てて、事前に購入しておきたい必要なものや確認事項、またテント内に薪ストーブを入れるために欠かせない煙突ガードと三重煙突のレポートなどを紹介します。また実際に薪ストキャンプをしてみて私がやってしまった失敗談から学んだネット情報の危険性についても、詳しい内容を説明していきます。
今回は私がネット情報を鵜呑みにした失敗談です
薪ストキャンプに必要なもの
キャンプ用薪ストーブを使用するにあたり、テントの外で使うのであれば事前準備は焚き火用ギアがあれば、すぐに出来るでしょう。しかし、テント内で薪ストーブを使う場合はいろいろな準備が必要です。
キャンプ用薪ストーブの部品を確認しよう
キャンプ用薪ストーブを購入したら、まずは部品を確認しましょう。内容物は薪ストーブによって変わるので、テンマクデザインのウッドストーブを例に挙げると、以下の部品があるはずです。
- ストーブ本体
- ロストル
- ダンパー付き煙突
- 直煙突
- スパークアレスター
- ふた用リフター(灰カキ棒兼用)
- ふた
よく動画等ではキャンプ場に箱ごと持ち込んで設置しているキャンパーさんがいますが、あれは演出です。もし同じようにキャンプ場で広げてみて部品が足りなかったら薪ストキャンプが出来ません。自宅で欠品がないか必ず確認しましょう。また薪ストーブによっては、灰を集める灰カキ棒が無い場合もあります。灰を捨てるために必要なので、無い場合は購入しましょう。
焚き火で使ったギアが活かせます
まずは必要最低限の揃えておくのが、薪掴み用トング、耐熱手袋、マッチ&ライター、薪、灰入れ、焚き火シート(スパッタシート)です。これらについてはキャンプ経験されてる方もしくは焚き火をされている方なら併用可能です。詳しい内容は別記事をご参照ください。
特にこの中で優先的に準備しておきたいのが「灰入れ缶(火消し壺)」です。薪ストキャンプでは選ぶフィールドによって薪燃焼後の灰捨てする場所が無い場合があります。また捨てる場所がある場合でも灰処理のために本体を運搬するのは面倒です。灰入れ缶(火消し壺)だけは必ず準備していきましょう。
火消し壺があると完全消火もできるので薪ストキャンプではホント便利ですよ
テントはTC素材を準備しよう
薪ストーブをテントの中に導入するためにはテントの生地を確認しましょう。ポリエステル製、ポリコットン製、コットン製などがありますが、ポリエステル製は熱に弱く薪ストーブには向いていません。煙突から出る火の粉で穴があいたり、最悪の場合テントが燃えます。難燃性のポリコットン製(TC素材)か、コットン製のテントを用意しましょう。暖房器具を用いるためのテントについては別記事で詳しく解説しているのでそちらをご参照ください。
ポリエステル製テントは幕が溶けたり燃えたりするので薪ストーブの使用は避けましょう!
ファスナー固定用クリップを準備しよう
テントにもよりますが、ファスナーの上下にスライダーがある2重ファスナーのタイプでは、煙突を入れた場合はファスナーを閉められません。そこで代わりにクリップでテントを仮止めします。私の場合はサーカスTC、スカイパイロットTCどちらもクリップが必要なテントでした。
クリップは何でもよいですが、なるべくガッチリ止まるものが良いと思います
雪中キャンプの場合は土台も必要
雪中キャンプの場合は雪の上に設営することが多いです。薪ストーブの脚は細く、そのまま使用すると熱で本体が沈み傾きます。そこで雪上に薪ストーブを設置する場合はスノコや木板を準備しましょう。
私はホームセンターで売られていた端材を購入し、加工コーナーで穴あけ加工しました。穴あけは本体固定用のペグを打ち込むための穴です。小型薪ストーブでは不要かもしれませんが総重量が7~8kg越える大型薪ストーブでは準備しておいた方が安心です。
煙突ガードを準備しよう
テントの中で薪ストーブを使うためにはテントと接触する煙突部分の熱を遮断する工夫が必要です。そこでテント内で薪ストーブを使用するため煙突ガードを準備しましょう。煙突ガードの種類は煙突をカバーするタイプと煙突そのもので遮熱するタイプがあります。前者は専用煙突ガード、後者は三重煙突が一般的です。専用煙突ガードは各メーカーで煙突径に対応したものを販売していますが、三重煙突はテンマクデザインもしくはウィンナーウェルのみ対応になります。それでは、それぞれの遮熱効果について解説します。
テントに煙突ポート(穴)が付いている場合でも煙突ガードが必要となる素材もあるので確認しましょう!
専用煙突ガードの場合
専用煙突ガードは煙突の外側に金属網状の筒をかぶせ、二重にすることで煙突とテントが直接触れられないような造りになっています。任意の煙突位置に設置できるので薪ストーブの位置を決めやすいメリットがあります。ただし、専用煙突ガードを固定するための上下のねじ部分は煙突に触れているため熱くなります。テントや手が触れないように気をつけましょう。
ここで私が専用煙突ガードでやってしまった失敗談を紹介します。初めての薪ストキャンプ、専用煙突ガードだけで遮熱できるのか不安になりました。そこでインターネットや動画を検索してみると、煙突ガードを使ってもTC素材のテントが溶けたという情報を見つけました。また対策としてサーモバンテージを巻いている記事や動画が多いことを知りました。
サーモバンテージってなに?
サーモバンテージはガラス繊維状の断熱材でバイクや車のエキマニに巻き付けて燃焼効率を上げるために使われるものです
そこで私もサーモバンテージを巻いて、さらにその上から焚き火台などに用いられるスパッタシートを巻き、専用煙突ガードの遮熱効果アップを図ったつもりでいました。
実際に使ってみると、サーモバンテージとスパッタシートを巻くことで熱を遮断してるように思えるし、巻いてるせいで逆に熱がこもっているような感じがありました。むしろサーモバンテージやスパッタシートがない方が通気性が良くなり、テントへの遮熱効果が高いのではないかと疑問が生まれました。
冷静に考えるとメーカーで販売してる専用煙突ガードに素人が加工してるっておかしな話です
そこで、このことを先輩キャンパーに相談すると専用煙突ガードに何も巻かずに使っている方が多いことが分かりました。
煙突ガード?
何も巻いてないよ
それって温度管理が
できてないんじゃない?
マジっすか!?
あの動画は何だったんだ!?
前述のテントが溶けた方は、おそらく薪ストーブの温度を高くしすぎたのではないでしょうか?薪ストーブ本体の推奨温度200℃~350℃であれば、専用煙突ガードのみで十分に遮熱効果が出ているようです。結局、シートを巻いた状態でテントは溶けませんでしたが、メーカーで推奨していない方法を続けていれば何が起きるか分かりません。サーモバンテージとスパッタシートは外すことにしました。
不安に駆られてやってしまった失敗談その1です
三重煙突の場合
三重煙突は煙突自体を加工し遮熱するものです。これはテンマクデザインか、ウィンナーウェルの薪ストーブ専用となります。煙突径が同じであれば他ストーブでも流用可能かもしれませんが、メーカー推奨品ではありませんので私からはおすすめしません。以前から二重煙突が販売されていましたが、遮熱効果をさらにアップさせた三重煙突が販売されました。
三重煙突は、煙突そのものなので加工することなくそのまま使用可能です。遮熱効果は薪ストーブの温度を200℃~350℃かつ煙突の下から三番目に取り付けた場合、底部で50~60℃まで抑えることが出来るとメーカーで表示されています。このことから、TC素材のテントには十分な遮熱効果があります。
実際に薪ストキャンプで使ってみましたが、三重煙突は煙突の表面温度基準がしっかり表示されているので、温度管理さえしっかり出来ていれば使いやすい印象があります。私の薪ストキャンプでは三重煙突を使用する機会が増えそうです。
また三重煙突はテントの接触部分を底部にする必要がありますが、既存の煙突では長さの調整が難しいため、調整用に短い煙突を購入しておきましょう。短い煙突を挟むことで、テントにちょうど良い接触部分を設置できます。
繰り返しになりますが、三重煙突はテンマクデザインもしくはウィンナーウェルの薪ストーブ煙突のみに対応しているため、購入する薪ストーブが限定されるという欠点にもなるのでご注意ください。
煙突の高さを確認しよう
薪ストキャンプで使用するテントの高さは様々あります。そこで大事なのが煙突高さです。購入した薪ストーブの煙突延長がテントより高いことを確認しましょう。テントの高さより低いもしくは同じ高さの場合、煙突先端から吐き出される火の粉でテントに穴があく場合があります。
煙突は高ければ高いほど火の粉被害は少なくなりますが、風などによって煙突が折れてしまう可能性もあります。そこで目安としては煙突先端が最低でもテントから40cm~60cmくらい離れるようにしましょう。もし煙突の延長が足りない場合は追加購入しましょう。
本体固定と煙突固定するための準備をしよう
多くのキャンプ用薪ストーブには煙突先端(スパークアレスター)に煙突固定用のリング等が付属しています。ただし、固定するためのロープは付属していません。そこで煙突固定用にロープを準備しましょう。
固定ロープ不要という方もいますが、煙突は厚さ数ミリしかないのに延長は2m越えるため、風や不測の事態に対して弱く煙突が折れてしまう可能性があります。薪ストーブ使用中に折れたら最悪の事故にも繋がります。固定用ロープは必ず準備しましょう。
また薪ストーブ本体固定と煙突固定用ロープに使用するペグも必ず準備しておきましょう。特に薪ストーブ本体は脚を固定しないと転倒したら大事故に繋がります。脚のタイプによって固定できるペグが異なりますので、アルミペグ等を準備しておきましょう。
煙突ブラシを準備しよう
薪ストーブは何度も使っていると煙突に煤やタールがこびりつきたまっていきます。これを放置していると不完全燃焼や煙道火災の原因になります。煙突掃除用に煙突ブラシを購入しましょう。
煙突ブラシは購入した薪ストーブ煙突の直径に合ったブラシを購入しましょう。例えば私の場合、テンマクデザインウッドストーブLの煙突直径は89mmなので、90~100mmの煙突ブラシを準備します。また、薪ストーブのメーカーによっては専用の煙突ブラシも販売されているので、そちらを購入した方が安心です。
薪ストーブ専用温度計を準備しよう
薪ストキャンプをする上で最も大事なのが温度管理です。熟練者になると炎の大きさや本体・煙突の状態で温度管理を行うことが出来るそうですが、薪ストーブ初心者ではそれが難しいです。そこで慣れるまでは薪ストーブ専用温度計を購入しましょう。
本体上に置いておけば、温度の目安が分かりやすく表示されます。使い方も難しくないのでぜひ事前準備しておきましょう。
煙突に焼きつき防止耐熱潤滑剤は不要、むしろ禁止です!
事前準備で触れておきたいのが焼きつき防止耐熱潤滑剤の話です。結論からいうと、焼きつき防止耐熱潤滑剤は不要です。またメーカーでも焼きつき防止耐熱潤滑剤の使用は禁止しています。
煙突への「焼きつき防止耐熱潤滑剤」使用に関して
テンマクデザイン公式HP https://www.tent-mark.com/wood_burning_stove_side_view_m/
煙突を抜きやすくするのを目的として「焼きつき防止耐熱潤滑剤」を使用されている事例がございますが、使用を重ねるとタールがたまり逆に煙突の掃除がしにくくなるばかりか、発火する可能性もあります。非常に危険ですので御使用はおやめください。抜きにくい場合は完全に冷えたのを確認しスプレー式の防錆潤滑油を吹き付けて外し良くふき取る事を推奨いたします。
ここで私がやってしまった失敗談(その2)を紹介します。初めての薪ストキャンプなので注意事項をインターネットや動画で検索したら、「薪ストーブの煙突は使用後に抜けにくくなるため、焼きつき防止耐熱潤滑剤を塗ろう!」という記事と動画が多く見かけました。そこで私はこのネット情報を鵜呑みにして、耐熱潤滑剤を購入して塗っていたら先輩キャンパーさんに声かけられました。
耐熱潤滑剤?
そんなのなくても煙突は抜けるよ
え!?マジっすか
あの動画はなんだったんだ!
(2度目)
その後、キャンプで焼きつき防止耐熱潤滑剤を使わずに煙突を抜いてみましたが簡単に抜けました。そしてメーカーでも使用を禁止していることを知りました。ちょっと抜けにくい煙突はメーカー推奨の防さび潤滑スプレーを煙突冷却後に吹き付けると簡単に抜けました。
防さび潤滑スプレーはホームセンターで販売されているもので良いです。ただキャンプで使用するなら、ミニタイプの潤滑スプレーをお勧めします。
いまだ、焼きつき防止耐熱潤滑剤を推奨している記事や動画見かけますが削除・修正してほしいです!
薪も大事なキャンプギア
意外と見落としがちなのが薪の品質です。薪の良し悪しによって薪ストーブの火付きが悪く、最悪は不完全燃焼のまま暖房機器が使用不可になってしまう恐れもあります。私もキャンプ実践前に庭で薪ストーブのテストを行いました。管理の悪い薪(未乾燥の針葉樹)を使用してみましたが燃焼できず大量の白煙が出たうえ、火は消えてしまいました。
もしこれがキャンプ場で発生した場合、特に零下の冬キャンプでは暖房が使えない最悪の事態となってしまいます。薪ストキャンプをする際は必ず事前に良質の薪を準備しましょう。また、良質の薪の詳細については別記事でも紹介してますので、そちらをご参照ください。
不完全燃焼は一酸化炭素中毒を引き起こす可能性もあります!
また薪の量ですが、一泊二日のキャンプでマイナス10℃の環境でテント内を20℃に維持するために使用した薪はコンテナケースひとつ分でした。
外気温によって薪の消費量は変動しますが、足りなくならないようにコンテナケースひとつ分は持ち込んだ方が安心です。
キャンプ場で販売している場合もあります。よく乾いた薪か事前に確認しましょう!
まとめ
薪ストキャンプに必要なものをすべて紹介しました。またこれらの他に、便利なアイテムもいろいろありますが、今は薪ストキャンプをするために必ず用意しておくもの、必ず確認しておかなければならないことについて解説しました。
- キャンプ用薪ストーブの部品確認
- 必要最低限、焚き火用のギアを準備
- テントはTC素材推奨
- 二重ファスナーにはクリップ準備
- 雪中キャンプなら土台が必要
- テント内で薪ストするなら煙突ガード必須
- 煙突高さを意識して火の粉対策
- 本体と煙突固定するための準備
- 煙突ブラシの準備
- 薪ストーブ専用温度計を準備
- 焼きつき防止耐熱潤滑剤は不要
- 良質の薪を必ず確保すること
この12個の項目すべてをクリアできたら、薪ストキャンプデビューはすぐそこです。
揃えるものや確認することは多いですが快適かつ安全な薪ストキャンプをするために、ぜひ事前準備をしっかりやっておきましょう。また私が実際に薪ストキャンプをやってみて、煙突ガードや潤滑剤について続けてやってしまった失敗談から、動画サイト等で紹介されている情報は信ぴょう性に欠けることが分かりました。やみくもにネット情報を鵜呑みにしてしまうのは危険です。ネットで得られた情報は、よく精査してから活用しましょう。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!
楽しいソトイクライフをお過ごしください。
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薪ストキャンプの使い方が分からない方または不安を感じてる方向けにキャンプ用薪ストーブの選び方について記事を書きました。よろしければこちらの記事を読んでみてください。
コメント
コメント一覧 (2件)
wishさんおはようございます!
この記事はためになりますねー!
二重三重煙突は外見がいいから私も欲しい
装備の一つですが同じ径のあるのかすら
知りません^^
ネットの情報…確かにほとんどが自己責任で
解釈して取り入れる事になりますが
実際、間違ってる情報は多いと思います!
私は基本情報を得たらさらに独自に調べて
自分の頭で考え正否を出す事にしてます!
キャンプ薪ストーブ投入の時は図書館
行きましたし笑
良く知る先輩方のお話以外は
疑ってかかってるようなもんです笑
それにしても良い記事でした♪
ありがとうございます!
>劇団にひきさん(虎さん)
おはようございます🌞
コメントありがとうございます!(^^♪
また記事読んでいただき至極恐悦です!
三重煙突すっかりお気に入りになりました!
互換性についてはおそらくGstoveくらいかなと思います。
そのうち互換性のある類似品は出そうな気もするし
でもコスパで煙突ガード人気は変わらなそうですね^^
ネット情報、やられました~!
最近ブームの影響でどっと記事が増えたので
ついつい、信ぴょう性疑うことなく
やらかしてしまった次第です(笑)
私も初心に返って資料集めや
諸先輩方の経験談から情報の正誤をしっかり
見極めていきたいと思います!
そういうことで、これからも
いろいろご教授ください、先輩!(*ノωノ)