冬キャンプを始めるために「冬キャンプ専用テントは何ですか?」とよく聞かれますが、専用テントはありません。結論からいうと、私は冬キャンプ用のテントを安易におすすめしません。たとえば、ネットで「決定版!これが冬キャンプのおすすめテント」といった情報をよく見かけますが、私が実際に冬キャンプしてみて、ワンタッチテントや構造が簡易なテントは除き、どんなテントでも快適な冬キャンプができました。そしておすすめテントの条件として、「ポリコットン製=TC素材のテント」、「骨格がしっかりしてるフレーム型テント」、「スカートが付いてるテント」などを挙げて冬キャンプ用とおすすめする情報が多いですが、これについてもすべての条件を満たしたところで、最高の冬キャンプ用テントにはなりません。そこで今回は、よくある冬キャンプおすすめテント情報にある条件についての説明、私が実際に冬キャンプで使っているテントの事例をキャンプインストラクターの視点から紹介、もっとも適した冬キャンプ用のテントとはなにか?など、これらについて詳しく解説します。
冬キャンプに適したテントとは?
キャンプをするためのテントにはたくさん種類がありますが、その中から冬キャンプにおすすめするテントというとネット情報ではだいたい次の条件ではないでしょうか。
この条件の理由としては、低温かつ悪天候が想定される冬キャンプでは、なるべく火器使用を前提とした丈夫なテントが適しているとされているからです。でもこの条件だけでは冬キャンプに必ず適しているか?と問われると、私は否定します。むしろ、今ある夏用テントをそのまま冬キャンプ用テントに使うことも可能だからです。それではこれらの条件について詳しく解説していきます。
最近はこれらを強く推す情報がありますが、それが正しいとは限らない。そんな流れで解説していきますね
テントの生地がポリコットン製
一般的にテントの生地はポリエステルとコットン、そしてTC素材に分けられます。冬キャンプの場合、暖房器具を使用したり雪上でキャンプを行うのでテント内は結露しやすくなります。ポリエステル幕の場合、結露がより顕著になりテントの中にいても雨降りのように水が滴ります。それに対しコットン幕は結露しにくいのですが乾燥しにくいという欠点があります。またポリエステルは火気に弱く、コットンは火気に強い(難燃性)という特性もあります。
そこで、両方の性能を兼ね備えたTC素材が、もっとも冬キャンプに適している材質といえます。ただし必ずTC素材がよいわけではありません。TC素材は両方の良いところを兼ね備えている半面、中途半端な性能とも言えます。それに対してポリエステル幕は軽く乾燥しやすいメリットがあります。人によってはポリエステル幕の方が向いていることもあるため自分のキャンプスタイルに合った生地選びが大切ということが分かります。
構造がフレーム型テント
テント構造は多岐にわたりますが大きく分けると、フレーム型とポール型に分けられます。フレーム型とはテントポールを複雑に交差させて強度を強くし、風や雪の重みに強いのが特徴です。代表としてドーム型やシェルター型テントが挙げられます。またポール型とは1~2本のテントポールで自立させたテントで、設営撤収が早いのが特徴です。代表としてワンポール型やツーポール型テントが挙げられます。冬キャンプをする上では積雪や強風に耐えられるフレーム型の方が適しているといえます。
ただ必ずしもフレーム型がよいわけではありません。なぜならフレーム型は重いからです。またポールの数が多くなり設営時間がかかります。よく「おこもりスタイルならフレーム型」と言われますが、1泊2日キャンプであれば、手間の時間短縮を優先してポール型を選んでも冬キャンプはできます。キャンプのシチュエーションに応じた柔軟性が大切です。
幕にスカートが付いていること
冬キャンプでは隙間風や冷気対策のため、テント裾が長いもの=スカートが付いていることが選ぶ条件と言われています。ただ、軍幕といわれるパップテントや海外製のテントはスカートが付いていないものが多いです。それらが冬キャンプに向いていないかといわれると、そんなことはありません。
テントと地表面に隙間をなくすために、なるべくテントを低く設置するように工夫したり、雪中キャンプであれば雪を乗せて隙間をふさぎます。つまり、スカートがないからといって、欲しいテントを諦める必要はありません。スカートは”あったらいいな”程度に考えましょう。
冬キャンプでは凍りついたり、空気循環しにくいという理由でスカートを嫌うキャンパーさんもいますよ
冬キャンプ用テントの選び方
結論として、冬キャンプに適した条件を押さえたTC素材のスカート付フレーム型テントは最高のテントなのか?というと、この条件を満たしたテントはおすすめできません。一見、冬キャンプに向いているメリットばかりに注目してますが、デメリットも当然あります。それはテントがとても重く、設営撤収に時間かかり、乾燥に労力がかかることです。
たとえば、ソロで遠征キャンプが主体のキャンパーさんは設営撤収はなるべく早く、重量も軽くしたいです。また乾燥に時間を要するTC素材のテントを乾燥させる場所がないキャンパーさんもいます。つまり、冬キャンプはキャンプスタイルによって選択肢が多岐にわたるため、これが正解というテントはないことになります。今回は私の冬キャンプスタイルを一例として紹介します。
ファミキャンの場合
ファミリーキャンプは人数と子どもの安全面を考慮し、ポリエステル製フレーム型テントとしてsnowpeakのランドロックを使用します。突風や積雪にも強く、TC素材に比べて乾燥しやすいので採用しました。
火気や熱に弱い欠点はありますが、暖房は灯油ストーブを中心に使用していますので特に問題ありません。また設営撤収は家族が手伝ってくれるので重量や手間はそれほど気にすることもありませんでした。
ソロキャンプの場合
ソロキャンプでは設営撤収の早さと難燃性であることを重視して、TC素材のポール型テントとしてテンマクデザインのサーカスTCを使用します。ソロとしてはやや広すぎる面はありますが、荷物を置いても余裕のある広さはデメリットにはなりませんでした。
ポリエステル幕でも良かったんですが、薪ストキャンプをすることを想定しTC素材にしました。風や積雪などによる強度は気になりますがガイロープをしっかり張り、テントに雪が積もらないよう配慮すれば、わざわざ重量が大きくして設営時間がかかるフレーム型を選ぶということにはならなかったです。
サーカスTCは廃盤となったので、類似のサーカスTCコンフォートソロをおすすめします!
グループキャンプの場合
グループキャンプでは交流会場として人数を多く入れることを重視して、ポリエステル製ポール型テントとしてsnowpeakのランドステーションLを使用します。TC素材に比べて乾燥しやすく設営撤収が早いので採用しました。
このランドステーションLにはスカートが付いていませんが雪を乗せることで隙間風を防ぐようにしました。風や積雪などに弱い点についてはガイロープをしっかり張り、テントに雪が積もらないよう配慮しています。またグループキャンプなので周りのキャンパーさんも雪かきやテント内の会場づくりに協力してくれました。
このように、いろんな冬キャンプでもいろんなキャンプスタイルでテントを使い分けしています!
まとめ
以上のことから私はこれで間違いなし!という冬キャンプ用のテントを紹介しません。何泊もするおこもりキャンプスタイルや、軽量化もしくは遠征が多いためにライト&ファストのキャンプスタイルなどによってテントの選択肢が異なります。ネット情報でメリットばかりを紹介しているテントを購入して後から損をしたと後悔することにもなりかねません。
私の場合はアフターサポート最優先なのでsnowpeakのテントを中心に購入しています。またsnowpeakにはTC素材のテントが無いのでコスパの良いテンマクデザインのテントを購入しました。このように、冬キャンプのテントは自分のこだわりや気に入ったメーカーなどでテントを決めても良いでしょう。つまり、冬キャンプに適したテントとは自分のキャンプスタイルに合ったテントを選ぶことだと私は思います。冬キャンプ向きといわれる快適性や機能性を重視した結果、重量が大きかったり設営撤収に時間がかかったり、自分の価値観に合わないテントを選ぶことなく、たくさんあるテントから自分のこだわりとキャンプスタイルに合ったテントを選び楽しい冬キャンプをしましょう。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!
楽しいソトイクライフをお過ごしください。
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また、テントの選び方以外にも冬キャンプのノウハウを詳しく解説した記事がありますので、よろしければこちらの記事を読んでみてください。
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